「うちの子にも合うかな?」と習い事を迷っている方へ。
習い事の実体験を通して見えたこと・感じたことを、息子さんたちが習った剣道の経験からリアルに語っていただきました。
全国大会
道場との確執が少しずつ生まれてきてはおりましたが、どのような形であったとしても全国大会に出場出来たことは、長男にとっても私たち夫婦にとっても良い経験になりました。
上級生だけではなく同級生の保護者からも嫌がらせを受けておりましたが、子どもたちは仲良くしておりましたので、それだけが救いでした。
5人全員が団結して全国上位を目指しており、私も主人も保護者間の隔たりはできるだけ無くそうと努力を続けました。
憧れの日本武道館
なんだかんだとトラブルはありましたが、ついに憧れの日本武道館に到着しました。
一年前に突然舞い降りたチャンス、一年間で急成長をした長男、はじめは全く関心がなかったものの急遽登場することになった主人、直前まで本大会に出場できるかどうか分からなくなった状況。
一年があっという間に過ぎましたが、道場内も家族も大きな変革の時期でした。
それもこれも全てこの一日のためのものでしたので、私自身も今日だけは楽しもうと考えておりました。
長男も最初は緊張していた様子でしたが、開会式が終わり穏やかな顔つきに変わっておりました。
これから戦うという前に穏やか顔つきをしていることが良かったのか悪かったのか、いずれにしても緊張の一回戦が始まりました。
恐れを知らない強さ
スポーツの世界では、初戦には魔物が潜んでいると言われております。
相手もこちらと同じように緊張感をもって初戦に臨むことになりますが、その緊張やプレッシャーから普段出来ていることが出来ない選手がいたり、逆に本番は異常に強くなる選手がいたりと様々なタイプがあります。
初戦が始まってすぐに分かったのですが、長男は後者でした。
いつも淡々と稽古をしており、できるだけ辛いメニューから逃げ回っていたため、きっと本番でも負けるだろうと予測しておりました。
しかし、開会式が終わってリラックスしているように見えていた表情が、試合が始まると今まで見たことのない闘志に満ち溢れていたのです。
また、何かが取り憑いたように負けることを恐れず前に前にと突き進んでいき、まるで強い選手のように見えたのです。
恐れを知らない強さが本番に発揮され、今まで未完成だった長男が生まれ変わった瞬間でした。
意外と勝ち上がっていく
そして、チームはどんどん勝ち上がります。
日本武道館で一年に一回開催される全国大会は、全ての試合がトーナメント方式でしたが、予選トーナメントにおける長男の勝率は100%になりました。
もちろん、長男以外の子どもたちもほとんど負けることはなく、最終的にはコート優勝をしました。
実に500チーム近くが参加する全国大会でベスト16まで勝ち上がったのです。
夢にまで見た舞台で表彰される長男を見て、胸が熱くなったことを覚えております。
当初は、チーム全体の流れとして、長男が足を引っ張る展開を予想していたため、予選トーナメントの途中で強豪道場に負けると考えておりました。
それは私だけではなく、指導者陣も他の保護者も同じように考えていたと思います。
やはり、県予選で唯一の負けを喫した長男のことを信用できずにおりましたが、まさかの全勝でチームの大躍進に一役買いました。
武道の聖地で巻き起こされた奇跡が、これまでの苦難を払拭してくれたことは言うまでもありません。
感動と疲れの繰り返し
全国大会が終わり、地元に帰るとスターのような扱いを受けることになります。
道場でも道場外でも
「おめでとうございます」
のラッシュでした。
こちらは散々虐められ、忍耐に次ぐ忍耐のご褒美くらいにしか感じておりませんでしたが、来年につながる良い結果で終わりホッとひと息つくことができたと同時に、これまで我慢をし続けてくれた長男に対する感謝の気持ちでいっぱいになりました。
その後も数々の大会で優勝しましたが、とにかく出場試合数が多く、この一年は感動と疲れの繰り返しになりました。
長男の突然の開花、根拠のない自信、試合以外で見せる穏やかな顔。
今では全てが良い思い出です。
上級生も同級生も
しかし、常に足を引っ張られる状況に変わりはありませんでした。
ある程度の結果を残し続ける学年のことを、良く思わない学年はおられます。
やはり、一つ上からの圧は続き、長男も今まで以上に嫌がらせを受けることになります。
また、嫌がらせをしてくる子どもは上級生に留まらず、いよいよ同級生の中にも出てきました。
長男が力をつけていくことにより、自分の地位が危うくなったり、公式戦の個人対決で長男に負ける同級生も現れたり、長男の敵は上級生、同級生、そして自分自身と増えていく一方でした。
敵が増えても味方が増えることはほとんどありませんでしたが、一部の子どもや保護者は長男のことや私たち保護者のことも大切にしてくださり、なんとか心の平穏を保つことができた小学生時代になりました。
**豆知識**
「団体戦」
剣道は基本的には団体戦と個人戦の2種目があります。
少年剣道の団体戦では、多くの大会が5人制をとっており、勝者数の多いチームが勝ち、勝者数が同数の場合は取得本数が多いチームが勝ち、勝者数も取得本数も同数の場合は代表戦となります。
勝つことに重きを置くだけではなく、どのように引き分けるのか、1本先取した後、どのような戦いをするのか、ただただ勝ちにいくだけでは勝ちきれない面白さが団体戦にはあります。