「うちの子にも合うかな?」と習い事を迷っている方へ。
習い事の実体験を通して見えたこと・感じたことを、息子さんたちが習った剣道の経験からリアルに語っていただきました。
レギュラー獲得
突然舞い降りたチャンスからレギュラーの座を獲得し、予定通り全国大会の出場をかけた予選会に臨むことになった長男です。
もちろんここまでには様々な出来事がありましたが、一気に半年近くを過ごしたため、私も長男も冷静に自分たちの置かれている立場を分析することもできておりませんでした。
全国大会出場予選
全国大会の予選会は一本の負けも許されない、非常にピリピリした緊張感のなかで進んでいきました。
主人は仕事の都合で試合を観にくることはできませんでしたが、私は観戦しました。
負けが許されない、自分の試合結果が全国大会の出場に大きな影響を及ぼすというプレッシャーから、長男もいつものように体が動かなかったようです。
その結果、初戦から負けてしまうのです。
団体戦でしたので、長男の負けで試合の結果が決まることはなく、他のメンバーが取り返したことにより勝ち上がることはできました。
最終的には予選を通過し、チームとしては無事に全国大会の出場権を獲得することができました。
これが武道の厳しさ
しかし、やはり最近真剣に始めたばかりの長男はプレッシャーに打ち勝つことができず、負けを許してしまったのです。
当然と言えば当然の結果でしたが、指導者陣はここまでどうにか仕上げたつもりだったので、長男に対しての信頼が崩れる形となりました。
長男や私のことを虐めていた上級生やその保護者も
「それ見たことか」
と言わんばかりの態度をしてきたことも事実です。
団体戦は勝ったり負けたりがあっても勝ち上がることが可能なのですが、負けを許されない道場に在籍する宿命を感じた期間でした。
これが武道の厳しさだったのです。
危うくレギュラーから外れそう
一敗も許されない道場だからこそ、徐々に長男の扱いが変わってきました。
わざわざ危ない橋を渡って長男に賭けるより、安定した下級生が本大会に出場するべきではないか。
指導者陣はもちろんのこと、子どもたちや保護者も私たちに聞こえるように大きな声を出すようになります。
ここまで様々な嫌がらせを受けながらも我慢をしておりましたが、さすがに大切な試合での一敗をきっかけにこちらも感情が揺らぎました。
怒りや嘆き、立ち直ろうとするマインドや諦めの心。
口では表すことのできない精神状態に陥ります。
常勝道場であるが故にぶつかった迷いでしたが、私もさすがにこの期間は落ち込みが続きました。
目の前の選択肢
さらに、このタイミングで架空の事件が起きることになりました。
これまでにも何度か起こされ、その都度謝罪をして乗り越えてきた事件でしたが、それは長男が他のメンバーを虐めて怪我をさせたといった内容のものでした。
もちろん、これまでにもあったでっち上げの事件でしたが、道場内の雰囲気が謝罪では済まされないものになっておりました。
指導者陣と怪我をさせられたと主張する保護者、そして長男の保護者である私たち夫婦の3者協議の場が持たれたのです。
その場で道場長から信じられない言葉が発せられることになります。
「弱かった長男を今まで面倒みてきたが、これ以上面倒をみることができない」
「必要に応じて処分を検討することになるが、場合によっては除籍も考えている」
なんと事もあろうか、ここに来てハシゴを外される形になったのです。
一年前にレギュラー候補として育成したいと言われ、ここでは書き切ることができないくらいの困難を乗り越えてきましたが、私も主人もこの言葉に対して許すことができませんでした。
主人は
「除籍をされるくらいなら自主的に退部をしよう」
と言い出し、私は
「今までの我慢が水の泡になることだけは避けたい」
と言い返します。
そして、何より長男は
「自分は何も悪いことをしていない」
と身の潔白を主張します。
家族の中が混沌としながら本大会のメンバー登録の時期が近づいてきました。
私たち家族は毎晩のように話し合い、また時には意見の相違から喧嘩をすることもありました。
しかし、最終的に選択した道は道場を退部せず、たとえ本大会のメンバーから外されようとも小学生の間はやり切るというものでした。
それが家族で出した結論でしたが、意地であったことは否めません。
ギリギリ全国大会出場
結局、長男の処分は大した内容にはなりませんが、架空の事件に対してあのような発言をされた指導者陣を信用することはこの時以降ありませんでした。
除籍をされないと決まった時点で長男が全国大会に出場できることは分かっておりましたが、この辺りから私たち家族と道場の間に大きな壁が出来たことも事実です。
一回の負けも許されない道場では長男の成長を見込むことができない、中学生になると道場ではなく中体連の活動が中心となるため、今後のことを見据えた行動を取ることにベクトルが傾いておりました。
しかし、武道をしている者にとって日本武道館は憧れの地であり、一生に一回、足を踏み入れられるかどうかの場所です。
全国大会に出場する以上、全力を出し切ることを家族で誓いました。
**豆知識**
「反則行為」
剣道にはたくさんの反則行為があります。
子どもの試合のなかで最も目にする反則は、試合中に場外に出ることと自分の竹刀を落としてしまうことです。
大人の試合では不当なつばぜり合いや時間空費などの反則が増えますが、子どもの試合ではめったに見かけません。
場外に出る反則や竹刀を落とす反則は誰が見ても明らかですが、不当なつばぜり合いや時間空費は審判の主観によるところが多いため、素人目では全く分かりません。