「うちの子にも合うかな?」と習い事を迷っている方へ。
習い事の実体験を通して見えたこと・感じたことを、息子さんたちが習った剣道の経験からリアルに語っていただきました。
長男と二男の剣道
私には20歳になる長女、18歳になる長男、14歳になる二男の3人の子どもがいます。
長男と二男はタイトルの通り剣道をしております。
ちなみに私も主人も長女も剣道の経験はなく、いつの間にか2人の男の子が剣道漬けの毎日を送ることになりました。
今回はそのきっかけとなった出来事や経緯を綴りたいと思います。
長男が剣道を始めた年齢ときっかけ
長男は小学1年生までは元気に過ごしておりました。
大きな病気や怪我をすることもなく、毎日学校が終わってから友だちと遊びまわる生活を送っておりました。
しかし、そんなある日、自転車で自損事故を起こしました。
坂道を下っているときに自転車のブレーキが間に合わず転んでしまったのです。
その結果、永久歯に生え変わっていた前歯を損傷し、以降口腔外科に通うことになりました。
口腔外科のDr.から2〜3年は過度な運動を控えるように指示があり、学校でも体育の授業は見学することになりました。
Dr.の所見では、体育の授業で転んで再度損傷した場合2度と治らないといったものでした。
自転車での事故は本人の不注意によるものでしたので、親子ともども仕方がないと諦めておりました。
そのような生活を続けておりましたが、3年生のときに同じクラスになった同級生のお母さんから連絡がありました。
そのお母さんのご実家の近くで剣道の道場を運営されている方がおられ、一度見学に来てもらいたいとの誘いを受けました。
1人で行くより2人で行った方が楽しいから一緒に行こうと長男へのお誘いでした。
剣道は面をつけ口元が守られるため、Dr.の指示を守ることができます。
また、小学生の低学年にも関わらず運動を控えていた長男も体を動かすことができる機会があるのなら見学に行きたいと言い、一緒に行くことになりました。
そして、見学初日に入部したのです。
これが長男のきっかけとなりました。
二男が剣道を始めた年齢ときっかけ
長男と二男は4歳の年齢差があります。
長男は道場でレギュラーを勝ちとり、小学6年生の頃には全国大会で上位入賞をするまでに成長しました。
そこに至るまでには親子で血を吐くような経験をしましたが何一つ悔いはございません。
その長男を一番近くで見ていた二男が自分も剣道を始めたいと言い出したことは至極自然なことでした。
両親が長男についてまわり家族の会話も剣道三昧に変わっていた我が家では、当然二男も話に入りたいといった気持ちが芽生えていたのです。
自然な形で小学2年生になる頃に同じ道場に入部することになります。
レギュラーである長男の弟ということもあり、二男は先輩の子どもたちに可愛がっていただく一方で、長男よりも体のサイズが小さく下積み期間は非常に長くなりました。
また、道場内には多数の同級生が在籍していたため、将来的にもレギュラーになることができる確率は少なかったと思われます。
それでも兄の背中を追いかけていた二男は、追い付くことはできなくとも週7回の稽古に励んでおりました。
剣道は武道であるが故に修行であると言われます。
試合に勝つことを目的とするのではなく、「打って反省、打たれて感謝」と言われるくらい、負けた自分を見つめ直していくものです。
この考え方が正しいのか間違っているのかは今でも分かりませんが、勝ち負けにこだわらずひたむきに兄の背中を追いかけるようになった二男は確実に成長していきました。
長男と二男に共通すること
長男と二男には共通することがあります。
長男は中学1年生の頃に腎臓の病気が発覚しました。
それまで学校も稽古も休んだことがなかった長男ですが、ある日原因不明の高熱で体が動かなくなり、熱が下がらなくなりました。
ちょうど世間ではコロナが流行りだし、誰もが神経質になっていたときでしたが、コロナは陰性、血液検査でも原因が分からず、内科や消化器の専門Dr.に何度も診ていただいた結果、腎臓に大きな欠陥があることが判明しました。
手術を受けることにより完治を見込めましたので、高校受験の前に手術を受けることにしました。
その間、2か月ほどは学校も道場も休むことになりましたが結果的には完治しましたので、主治医には恵まれたと思います。
一方の二男ですが、こちらは1歳の頃に川崎病と呼ばれる原因不明の病気を発症しております。
川崎病の根治術はなく、一度発症した患者の多くは中学生までに再発する可能性が高いと言われております。
また、二男の場合、心臓に後遺症が残りました。
日常生活には支障のない程度でしたが、激しい運動は控えるよう主治医からも指示を受けておりました。
剣道をすることにより、きっと病気にも打ち勝てると家族全員が根拠なき自信を持ち稽古を続けた結果、本当に再発することもなく今では心臓の後遺症も全く問題ありません。
ちなみに長女はダウン症ですので、私の子どもは3人/3人、100%の確率で何らかの病気や障がいを抱えていることになります。
長女がダウン症であったため、私も長男や二男に夢中になっていた節もありましたが、結果的には家を空けることが多くなり、長女の成長にも結びつきました。
長男と二男の共通点は2人とも大きな病を克服し、今も元気に剣道を続けていることです。
共通することはあるけれど似ても似つかない2人
とはいえ、長男と二男のこれまでの剣道人生は似ても似つかないものになりました。
長男は、小学生、中学生ともに県でトップクラスの選手となり、全国の高校からのスカウトも数えきれないほどになりました。
一方の二男はまだ中学生ですが、剣道そのものは弱く大きな結果にも恵まれたことはございません。
ただ、長男は道場長に進学の邪魔をされ最終的には縁を切ることになりました。
卒部こそしましたが、道場外でたくさんの大人に守っていただいたおかげで高校への進学も問題なくできました。
実際、今年春に開催された全国選抜大会にも出場できましたので、この結果はこれまでお世話になった方々のおかげです。
二男は長男のときに経験させられなかった強豪中学への進学のために一流の指導者の元に入学させました。
県内で唯一全国制覇を成し遂げられたことのある指導者ですので、当然このままではレギュラー入りの未来は見えません。
現在
しかし、それでも今、私は長男と二男の2人の追っかけをして楽しんでおります。
結果も大切なことですが、同時にどのように成長し、豊かな人間性を形成していってくれるのかも楽しんでおります。
まずは礼儀を重んじ、挨拶や敬語を覚えるとともに先輩や後輩、大人との人間関係を形成していく方法など、2人の子どもには剣道を通じて大切なことを学んでもらいたいと願っております。
また、それを応援できる私自身も子どもいっしょに成長し、子どもに対して「感謝」できる人間を目指します。