「断ったら成績が下がる?」
「講師に悪く思われそう…」
「周りも受けるなら受けたほうが良いのかな?」
夏期講習は、夏休みという一番長い休暇中にあることもあって、その費用が高くなりがちです。
それゆえに、提案された夏期講習をそのまま受講するかどうか、悩む方は多いと思います。
夏期講習を受けて成果が出ればまだしも、特に何も変わらなかった場合は、後悔してしまう可能性もあります。
そこで今回の記事では、現役塾長の立場から、夏期講習を断っても大丈夫なケースとその断り方のポイントをお伝えします。
夏期講習はそもそも必要?
夏期講習の目的
そもそも夏期講習の目的は何でしょうか?
生徒によって多少異なる場合はありますが、大きく分けると3つの目的があります。
- これまでの復習
- 次学期や次のテストに向けた予習
- 検定や受験対策
どれも時間のある夏休みだからこそ、取り組みたい内容です。
受けるべきケース
では夏期講習を受けるべきケースはどのような場合でしょう。
まず絶対に受けるべき生徒像は
「勉強の目標があるのに、どうやって勉強を進めたら良いのか分からない生徒」
です。
特に受験勉強や初めての試験勉強では
「勉強の仕方が分からない…」
と勉強をする前段階で悩んでい生徒が意外と多いです。
そのような生徒は、夏期講習を活用できる可能性が高くなります。
一方で、勉強の目標すら決まっていない場合は、塾の先生と相談し目標が決まった上で、夏期講習を受講するか決めましょう。
受けなくても大丈夫なケース
夏期講習を積極的に受ける必要がないケースもあります。
それは
「勉強の目標が決まっていて、勉強の進め方も分かっている生徒」
です。
簡単に言ってしまえば、自学自習できる生徒になります。
こういった生徒は、夏期講習を受けるとしても補助程度で、塾からの提案全てを受け入れる必要はないことが多いです。
夏期講習の実態
必要のない科目
保護者の方が夏期講習を
「必要ないのではないか…?」
「高過ぎるのではないか…?」
と感じてしまう理由の一つに、不必要な科目を提案されることが挙げられます。
「普段できないからこそ、夏期講習で勉強しましょう!」
と塾側はすすめてくるかもしれませんが、受ける必要のない科目は断りましょう。
それは上記でも述べたような、自分で学習ができる科目です。
特に暗記科目である理科や社会などは、むしろ自分で勉強ができないとなかなか成績は上がりません。
「授業を受けないと不安…」
という気持ちが強くても、授業を増やすだけで安心するのではなく、勉強の仕方を丁寧に教わりましょう。
夏期講習を受けなくても、普段から勉強の進め方を塾の先生と確認しておけば、自分一人でも勉強をすることは十分可能ですよ。
多すぎるコマ数
また、夏期講習でよくある話が、授業数が多過ぎるという話です。
そのせいで、何十万円も請求されたという話はよく耳にします。
しかし保護者やご家庭の判断では、適切なコマ数が分からない場合が多いです。
分からない以上、塾から言われたコマ数をそのまま受講するはめになってしまいます。
そんなときに大事になるのが
- 子どもの目標の明確化
- 塾とのコミュニケーション
この二つです。
子どもの目標の明確化は、先ほどから一貫して大切だと伝えていますが、塾とのコミュニケーションは何を意識すれば良いのでしょうか?
塾からの学習報告を聞いただけで満足していませんか?
塾とのコミュニケーションで大切なことは、目標達成のために、どれくらいの勉強量が必要なのか?この擦り合わせです。
闇雲に勉強をしていると、勉強好きな子なら大丈夫でしょうが、そうではない場合はいつかモチベーションがなくなってしまいます。
そうならないために、目標達成に必要な勉強量を把握しておきましょう。
そして必要な勉強量を一番分かっているのは、塾の先生のはずです。
ですから
「うちの子の目標達成までにどれくらいの勉強量が必要ですか?」
と事前に聞いておくと、講習期間中に必要以上のコマ数を取ることがなくなります。
それはどれくらい勉強が必要か把握しているからです。
塾の事情
- 不必要な科目をすすめてくる
- 多くのコマ数を受講するように求めてくる
この二つは、塾側の都合の部分もあります。
夏期講習などの年3回ある講習は、塾としては稼ぎ時です。
つまり会社として働いている講師にノルマを課したり、他の校舎と売上で競うことになったりすることで、強引な講習の勧誘になることがあります。
理由はどうあれ、多くの授業を取ってもらおうと促してくることは、往々にしてあるのです。
あからさまに不必要な授業をすすめてくる場合は論外ですが、ちょっとした不安を煽られると保護者としては断ることに勇気が必要なるでしょう。
そんな中で自信を持って必要な授業だけを受け、不必要な授業を断るためには、子どもの目標と学習状況の把握が必要不可欠です。
断るときのポイント
理由を明確に
実際に
「この提案された授業は必要ないな」
と思ったときは断ることになりますが、その際にポイントがあります。
それは断る理由を明確にして塾に伝えることです。
理由①:子どもだけで勉強を進められる場合
「理科と社会は家や自習室で反復演習したいので、講習は数学と英語だけでお願いします。」
「国語の作文は家で書いてくるので、採点だけお願いできますか?」
「数学の基本的な内容の復習は自分でできるので、難しい文章問題だけ授業をしてくれますか?」
このようにどの科目を自分で、どの科目を塾に頼るのか明確に伝えられると話がスムーズに進みやすいです。
理由②:家族や他の習い事を通して学習を進める場合
「数学は家族で教える予定なので、講習では苦手な国語の文章問題を見てほしいです。」
「英文法やリスニング練習は英会話でするので、長文だけ対策できますか?」
この場合も、家で学習する内容と塾で教えてもらう内容を区別しておくと良いでしょう。
理由③:ご家庭の都合
「講習中はどうしても外せない予定があるので、また講習が終わったら引き続きよろしくお願いします。」
「ご提案の授業を全て受ける余裕はないので、苦手な科目だけお願いできますか?」
経済的な理由だと言いにくい場合があるかもしれませんので、それとなく伝えてみましょう。
それでも無理に勧誘してくる場合は、その塾が信頼に値するか再度考えてみても良いかもしれません。
丁寧な言い回し
どのような理由で断るにしても、丁寧な言葉使いは常に心掛けるようにしましょう。
断ることに罪悪感を覚える必要はありませんが、最低限のマナーとして言葉に丁寧さは必要です。
そして丁寧な言い回しをする際には、感情的に断らないことも大切です。
それは塾にとってではなく、子どもにとって大切なことです。
というのも金額だけ見ると高過ぎると感じるかもしれませんが、子どもは夏期講習に参加したいと思っているかもしれません。
子どもは親の言動を意外としっかりと見て聞いているものです。
子どもに変な罪悪感を与えないためにも、子どもの意見や気持ちを聞いた上でもし断る選択をするならば、子どもとも丁寧な言葉で話し合いをしましょう!
信頼関係を大切に
感情的にならず、丁寧な言葉使いをしようとお伝えしましたが、その理由は塾との信頼関係にもあります。
仮に夏期講習を断ったとしても、講習が終われば通常授業に戻るはずです。
そのときに
「夏期講習を受講しなかったから、対応が悪くなった…」
と感じないために、もしくは実際にそうならないためにも信頼関係は築いておいて損はないです。
保護者と塾の関係性が良いほど、塾はその子どもに対しても力を入れようと思います。
もちろん生徒の扱いに極端な差は生まれないように配慮しているはずでしょうが、それでも人間である以上気持ちの面では違いが出ます。
保護者と塾の良好な信頼関係は、子どもの快適な塾ライフにつながると覚えておきましょう!
他塾や第三者の意見を聞く
夏期講習を機に、他の塾を参考にすることはおすすめです。
そうすることで今通っている塾の良さや悪さが明確になり、改めて今の塾が子どもに合っていると思えたり、逆にもっと良い塾を見つけたりするきっかけになります。
また、ママ友から他の塾の情報を聞くのも良いでしょう。
ネットで情報収集をするよりも、リアルな声を聞くことができます。
しかしこの際の注意点として、ママ友の子どもには合っている塾でも、うちの子に合っているかは分からないことを頭に入れておきましょう。
転塾を考えるとしてもママ友の意見は参考程度に、自分の子どもの性格や目標を考慮して、その塾が合っているか判断することが大切です!
まとめ
いかがでしたか?
今回は塾の夏期講習を受けるか断るか悩んでいる方に向けて、塾長目線でアドバイスをさせていただきました。
夏期講習を受けるか悩んだときは
- 子どもの勉強の目標を明確にする
- 目標達成に必要な科目や授業数を考える
- 常日頃から塾とのコミュニケーションを大切にする
この三つを意識することで、答えが出しやすくなります。
そして夏期講習を一部にしろ全部にしろ断る場合は
- 明確な理由
- 丁寧な言い回し
- 塾との信頼関係
- 他塾との比較
これらを意識した上で、子どもの意見も尊重しつつ、塾側に伝えるようにしましょう。
夏期講習は学力を大きく伸ばせるチャンスですが、上手に活用しないと大金を払って何も変わらないという結果になることもあります。
受験のため、将来のためと不安になる言葉に惑わされず、必要な講習授業だけを活用できるようになりましょう!