私たちに多くの知見を与えてくれる本
そんな学びを紹介する本から習うシリーズ
今回は、海賊とマダガスカル人が築いた独自の政治文化に迫る 啓蒙の海賊たち についてご紹介です!
本の紹介
本の基本情報
著者: デヴィッド・グレーバー
訳者: 酒井 隆史
出版社: 岩波書店
出版年: 2025年4月23日
本のテーマ
この本は、負債論やブルシット・ジョブなど、人類学者として多くの名著を残してきた著者が、啓蒙思想の起源について考察しています。
一般にヨーロッパ貴族が起源とされている啓蒙主義ですが、実はマダガスカルに集う海賊と現地の女性たちが創造したのではないかと、海賊の歴史をたどりながら教えてくれます。
野蛮で暴力的で自由奔放なイメージのある海賊ですが、その裏には平等主義や民主主義の発展が垣間見えるラディカルな啓蒙主義的組織があったようです!
本から習えたこと
「海賊はただの無法者ではない(かもしれない)」
海賊が啓蒙主義の発端であるという意外な主張からは、これまでの「掠奪者」や「暴漢」といったイメージとは異なる一面を知ることができました。
思えば海賊という言葉は、現代社会の中でも耳にすることがあります。
漫画やゲーム、映画といった娯楽の中で使われることが多いからです。
しかしそれらはあくまで架空の話であって、多少は実際の名前や歴史を使っている場合があっても、海賊の史実に触れる機会は少ないと思います。
そういった娯楽に消費されるだけの海賊という存在ではなく、実際にあった海賊の歴史から考察される政治文化は、新しい感性で海賊世界を教えてくれます。
海賊にはどのような歴史や出来事があったのか?
海賊にとってマダガスカルという地の重要性とは?
男性だけでなく女性がどのように海賊と関わりあったのか?
啓蒙主義に対して新しい視点を持つことができました!
子どもへのおすすめ度
構成(読みやすさ) | 4 |
内容(分かりやすさ) | 3.5 |
視覚的要素(図・イラスト・写真の量) | 2 |
学習へのつながり | 4 |
総合 | 3.5 |
英語で書いたエッセイのような構成になっています。
序文があって、ボディとなる本文は三部構成、そして結論という流れです。
構成自体は非常に明瞭ですが、聞き慣れないカタカナの名称が多く、さらに繰り返し出てくるので
「これは何だっけ…?」
となるかもしれません。
しかし注釈による解説がきちんとあるので、子どもでもゆっくりと確認をしながら読めば、理解ができないということにはあまりならないはずです。
漫画や映画で見る海賊とは違った一面を、ぜひ堪能してみましょう!
本当かどうかは分からない話もありますが、見聞きしたことのない世界を体験できるはずです。
保護者へのおすすめ度
読みやすさ(時間) | 4 |
知的満足感 | 4 |
実生活への応用 | 3 |
教育へのつながり | 3 |
総合 | 3.5 |
ページ数は200ページ弱しかないため、読みやすさは感じます。
もし海賊について詳しくないようでしたら、海賊の伝記に少し詳しくなれるはずです。
海賊という組織がどのように成り立っていたのか政治的視点で見ると、また違った面白さを感じられるかもしれません。
塾長のコメント
この本を読んだきっかけ・・・
啓蒙と海賊という言葉の組み合わせが気になりました。
また海賊の歴史についても少し興味があったことがきっかけです。
著者の別の本を読んだことがあり、それがおもしろかったため、特に迷わず手に取りました!
読んでみた感想・・・
海賊の歴史をもっと学んでみたいと思いました。
伝説として残っている話が多いのかもしれませんが、きっとその中には本当の話があるはずです。
もしくは何でそのような伝説が生まれたのかを掘り下げてみるのも、面白そうだなと感じました。
マダガスカルにもいつか行ってみたいですね!
興味がある方へ・・・
海賊に興味がある人には、海賊の歴史を知るためにもぜひ読んでほしいです。
人類学者としての著者の考察も、楽しめる話になっていますよ。
また政治や啓蒙主義に興味がある人にも、一読してほしいと思います。
海賊やマダガスカル人を通して、新しい視点を手に入れられるはずです。
きれいな結論がある本ではありませんが、興味があれば読む価値のある一冊ですよ!