私たちに多くの知見を与えてくれる本
そんな学びを紹介する本から習うシリーズ
今回は、なぜ他人の考え方を非論理的と感じるのか教えてくれる 論理的思考とは何か についてご紹介です!
本の紹介
本の基本情報
著者: 渡邉 雅子
出版社: 岩波新書
出版年: 2024年10月18日
本のテーマ
この本は、論理的思考について社会や文化・教育の面から考察してきた著者が、論理と非論理の境界線がどのように作られるのか、論理的思考方法は一つではないという主張を基に述べてくれています。
アメリカ(経済)、フランス(政治)、イラン(法)、日本(社会)の4つの代表例にわけて、論理的思考の違いとどの領域を主な価値観として持っているかで感じる他の思考法の非論理性を教えてくれます。
一つの思考法に頼るのではなく、価値観を選択できる「多元的思考」を身につけるきっかけを与えてくれる一冊です!
本から習えたこと
「論理的思考法は一つではない」
この本の主題にもなっていることですが、論理的思考法の種類とそれぞれの特徴を学ぶことができました。
国によって違う4つの論理の考え方と物の見方を確認してから、なぜ他の(他人の)論理が非論理的であるのか考察しています。
現代の社会の風潮として、アメリカ的な思考(結論を先に述べてからその理由を分かりやすく述べるスタイル)が論理的だと認識されていることは多いと思います。
しかしフランスのより深い理解を探す弁証法を基にした論理や、イランの社会的・宗教的に正しい結論に帰結する論理、はたまた日本の感想文で多く見られる他人との共感を用いた論理、これらのどれにも論理性はあります。
非論理と感じるのは、自身の持っている論理を考える指針と、他人が持っている指針が違うからです。
そういった論理性の齟齬を減らすためには、上記のような多様な論理的思考法を身につけ、それを時と場によって使い分けると良いのです。
このような論理的思考の多様性を考えるきっかけを、この本から得ることができました!
子どもへのおすすめ度
構成(読みやすさ) | 4 |
内容(分かりやすさ) | 3.5 |
視覚的要素(図・イラスト・写真の量) | 2 |
学習へのつながり | 5 |
総合 | 3.5 |
序章が少し長く感じましたが、読みやすく分かりやすい構成になっています。
帰納や演繹、弁証など子どもにとって難しい言葉が出ているので、意味は調べながら読む必要がありそうです。
しかし難しい言葉を多用しているわけではありません。
「論理的思考」だけでなく「言葉の力」を育てる本として、学びの幅を広げられる内容です。
子どもが普段なかなか接することのできない、海外の論理的思考について触れられる点もおすすめポイントです!
思考法を基にした、いろいろな価値観に触れてみましょう。
保護者へのおすすめ度
読みやすさ(時間) | 4 |
知的満足感 | 4 |
実生活への応用 | 4 |
教育へのつながり | 4 |
総合 | 4 |
新しい論理的思考法を学べると、視野が広がる(増える)感覚を味わえます。
この本は4つの論理的思考法を紹介していますが、読者それぞれに他の思考法を意識することもできるかもしれません。
このような「考え方」を考えるきっかけは、保護者が子どもの「考え方」に寄り添うヒントを得られる可能性を秘めています。
さらに子どもの読書感想文を読んだときに
「ふーん」
で終わらせずに、読書感想文という日本人らしさが詰まった論理的思考法から、親子感の対話につながるヒントが得られるはずです。
これまで日本人が培ってきた感性を大事にしつつ、他の論理的思考法についても学ぶことができますよ!
塾長のコメント
この本を読んだきっかけ・・・
自分は論理的思考ができているのか?
この本のタイトルを見て、このように感じたのがきっかけです。
「論理的思考法は一つではない」とのことで、ならば著者はどのように区別しているのか気になりました。
読んでみた感想・・・
アメリカ的な結論を最初に述べる思考法は、たしかに論理的だと感じます。
逆に日本的な自分の感想をつらつら並べる思考法は、非論理的と感じても仕方がありません。
しかしそれぞれの思考法に適した状況があり、思考法を適宜選択することで、本当の意味での論理的思考を身につけることができます。
そんな「多元的思考」は今後も意識して使っていきたいと思いました!
興味がある方へ・・・
他人の話が分かりにくいな…
自分の話が伝わっていないな…
このように感じたことのある方は、ぜひこの本から論理的思考が何たるかを学んでほしいです。
日常生活でも非常に役立つ考え方を知ることができますよ。
自分の論理性は本当に正しいのか?見直すきっかけにもなるはずです。
ぜひ多元的思考を身につけ、より円滑なコミュニケーションが取れるようになってみてください!